2011年12月アーカイブ

グラボの特性比較(GeForce vs Radeon)

大変、光栄なことですが田中ゼミのブログ(GPUのベンチマークなど)に興味を持たれたということで、株式会社ゴーガの小山さんという方が、東京からわざわざ長野大学までお越しくださいました。

遠いところをわざわざお越しいただきまして、
まことにありがとうございました。

小山さんはLinux上でグラフィックスのベンチマークをしているところが
珍しいということでこちらのリンクの記事にご興味を持たれたようです。

しかも、わざわざお越しいただいた上に、NVIDIA Quadro 2000とAMD Radeon HD6950といった2つのGPUを、ご提供いただきました。

重ねて、お礼を申し上げます。

quadro-radeon.JPG



















さて、せっかくご提供いただいた2つのグラボについて、早速ベンチマークをとってみました。

ただ、今回は2つのグラボの特性比較となりますので、まずはWindows 7 上で
動作比較となります。

いろいろ2つのグラボの速度を比較してみると、それぞれ面白い特性があることがわかりました。

【ベンチマーク条件】
◆ハードウェア
 OS: Windows 7 64bit 
 CPU: Intel Core i7  920(2.66GHz)
 メモリ: DDR3 3チャンネル 9GB
 GPU: nvidia と amdそれぞれを交換して使用

◆ドライバ
 nvidia : Quadro/Tesla driver 285.58
 amd :  Catalyst 11.9 

◆グラフィクスAPI
 OpenGL + GLSL(バージョンはドライバに対応)
 

◆使用ソフトウェア
 田中ゼミで開発しているソフトウェア


【ベンチマーク結果】

ベンチマークに使用したソフトウェアは、過去のこちらのリンクの記事と同じソフトウェアを用いました。

(1) レイトレーシング

こちらのソフトは、物体間の相互反射を計算するためにGPUをそのまま使うのではなく、GLSLを使ってGPGPU的に記述したものです。

※このソフトでは、本来GPUに任せてしまうような一般的な処理も含めて、すべて独自に実装したプログラムをFragment Shader上で計算しています。

◆ AMD Radeon HD6950 の結果
 アンチエリアシング ON  : 171.5fps
 アンチエリアシング OFF: 173.0fps

◆NVIDIA Quadro 2000の結果
 アンチエリアシング ON: 測定不能(遅すぎるよう)
 アンチエリアシング OFF: 6.9fps


(2) 美術品のCG再現システム(金属物体)

形状の計算などは通常のGPU上のグラフィックスパイプラインで計算し、
光反射モデルの部分はFragment Shader上に独自実装しています。

※金属独自の光沢や粗さの計算処理負荷が大きいことが特徴となります。

nvidiaのドライバの方はアンチエリアシングの強さを細かく設定できたので2種類のアンチエリアシングそれぞれを載せています。

◆ AMD Radeon HD6950 の結果
 アンチエリアシング ON  : 21.6fps
 アンチエリアシング OFF: 59.8fps

◆NVIDIA Quadro 2000の結果
 アンチエイリアシング ON 64x(16xSS, 4xMS): 3.0fps
 アンチエイリアシング ON 32x(4xSS, 8xMS): 5.1fps

 アンチエリアシング OFF: 103.4fps

(3) 美術品のCG再現システム(プラスチックや塗料など)

形状の計算などは通常のGPU上のグラフィックスパイプラインで計算し、
光反射モデルの部分はFragment Shader上に独自実装しています。

※拡散反射成分の計算に放射照度マップと呼ばれる一種のルックアップテーブルを使って高速化しています。

◆ AMD Radeon HD6950 の結果
 アンチエリアシング ON  : 23.7fps
 アンチエリアシング OFF: 35.4fps

◆NVIDIA Quadro 2000の結果
 アンチエイリアシング ON 64x(16xSS, 4xMS): 2.6fps
 アンチエイリアシング ON 32x(4xSS, 8xMS): 4.4fps

 アンチエリアシング OFF: 75.8fps


(4) 人間の肌のCG再現システム(デジタルコスメ)

形状の計算などは通常のGPU上のグラフィックスパイプラインで計算し、
光反射モデルの部分はFragment Shader上に独自実装しています。

※肌独自の柔らかい陰影を表現するための表面下散乱現象の計算処理負荷が大きいことが特徴となります。

◆ AMD Radeon HD6950 の結果
 アンチエリアシング ON  : 24.0fps
 アンチエリアシング OFF: 34.5fps

◆NVIDIA Quadro 2000の結果
 アンチエイリアシング ON 64x(16xSS, 4xMS): 6.1fps
 アンチエイリアシング ON 32x(4xSS, 8xMS): 9.2fps

 アンチエリアシング OFF: 147.0fps

【実験のまとめ】
まず全体の特性の傾向としてわかったことは、 AMD Radeon はレイトレーシング処理が大変高速なことです。

 (1)のソフトウェアでは、本来GPUに任せるような処理(ライティングや幾何変換)もすべて自前で計算しているため、すべてFragment Shader上で計算処理を行っています。
そのためFragment Shader 上で通常のGPUプログラムでは行わないような複雑な処理を行っていますが、こういった処理はRadeonが得意なようです。

それに対してNVIDIAの方は、通常のGPUのグラフィックスパイプラインに近い処理は高速に実行できるようです。アンチエリアリングOFFの状態では処理結果が逆転しています。

しかし、NVIDIAの問題点としてアンチエリアシングをかけると急激に速度が低下するようです。

以上、田中ゼミで開発いているソフトについて、2つのグラボについてベンチマーク試験を通して、その特性を比較してみました。

今後研究を進めるうえで貴重なデータが取ることができました。



 

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ずいぶん遅れてしまいましたが・・・

ブログ担当のMTです。
夢チャレンジ制度の進行報告について、数か月ぶりの更新です。

本当に遅れて申し訳ございません!!!

さて、今回はこれまでの進行について報告したいと思います。
私達は千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館に展示されている美術品を計測し、3DCGとして大勢の方々に見ていただけるようなシステムを死に物狂いで作っております。

計測の練習として安価な壺をCGで再現しました。

こちらは長野大学の研究室内の照明環境を基にCG再現した結果です。



続いてこちらは視点を少し下げ、物体を上から見た図 (影がくっきりと出ているのが分かるかと思います)



最後に視点を上げ、物体を下から見た図 (天井の蛍光灯の影響で明るく見えております)



・・・・・最後に、更新が遅くなってしまい申し訳ございません。これからどしどし更新していきたいと思っています!!!!



 

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