バスフィッシング・スモールマウスバスのメッカ野尻湖

今回はスモールマウスバスのメッカ・聖地である野尻湖でレンタルボートやマリンスポーツなどで生計を立てている方にお話を聞きました。(名前は本人の希望でふせさせてもらいます)

現在野尻湖とバスフィッシング切っても切り離せないものになっているそうです。

1995年にバス釣りが解禁になったそうですが、それ以前は遊魚対象魚として浸透していなかったこともあり駆除されていたそうです。

しかし1991年に日本ではまだ確認されていなかったコクチバス(スモールマウスバス)の生息が確認され、それを観光資源として観光に生かせないかという提案がなされて1995年にバス釣り解禁になったそうです。

スモールマウスは一般的なバスであるラージマウスより体高があり引きが強いという事があってゲーム性が高く、寒冷地を好む性質なため野尻湖にしか生息していない(現在は桧山湖、野尻湖周辺の河川にも生息している)事もあり解禁翌年には遊魚料収入は200パーセントも向上するなど停滞していた野尻湖の観光業にとって救世主になったそうです。(野尻湖漁業組合報告書より)

バスフィッシングの人気に限りが見えた今でも野尻湖はスモールマウスの聖地という事もあり安定した収入を得る事ができるのだそうです。

野尻湖には魚種ごとのシーズンがあり

雪が少なくなる四月から寒くなる十一月までがバス釣りのシーズンで残りはワカサギのシーズンになっています。(冬はバスがボトムエリア(深場)に移動してしまい釣りが成立しない)
野尻湖はワカサギの放流を積極的に行っているためワカサギ個体数が多く、バスに頼りきりというわけではなく、バス釣りのオフシーズンも釣り人を呼ぶことができるのです。

私たちが取材に訪れた時もたくさんのバスボートが浮いていました。

 野尻湖ではブラックバスによって恩恵を受けていることを理解しており、観光資源であるスモールマウスバスのスポーニングエリア(産卵場所)であるネスト(産卵床)の保護、ゴミ拾いなどを行っているそうです。

現在このようにブラックバスを観光資源としている湖やダム湖は珍しくありません。
こういったブラックバスによって収入を得ている人達がいるという事を多くの人に理解していただきたいです。

ここから先は相反する意見ですが
これを言うと曖昧になるかもしれませんが私たち自身、バスフィッシングを用語する立場の人間ですが外来種自体は日本の生態系を壊すため安易に持ち込んだりといった事は絶対行ってはいけないと考えています。しかしブラックバスがいの一番に攻撃される理由がわかりません。その長い歴史の中で、ブラックバスは遊魚として人気がでて今では多くのお金を生む経済魚として認知されています。

もともとブラックバスを遊魚としてバスフィッシングを始めたのはアメリカです。アメリカの大会では100万ドルといった賞金を懸けて戦うプロスポーツとして認識されメジャーリーグ、NFLと並んで高い人気を誇ります。最近では大森貴洋プロが日本人初の年間賞金1億円を達成しバスフィッシング界のイチローと呼ばれています。しかし日本では知られていません。これは私見ですが外来種駆除法制定以降、そういった表立った報道がしにくいのではないかと思います。この雰囲気の中ではブラックバス=悪としかなりません。

バスフィッシングが日本に広がった初期のころは日本のメーカーの知識、技術がアメリカに追いつかず、多くを輸入していましたが、今では多くの製品を輸出するようになりました。中でもリールに関しては日本は世界一で誰でもプロのようなキャストができる電子コントロール機能の付いたリールなどを開発するなどモノづくり大国日本の凄さがいかんなく、この業界内で発揮されています。

これはどういう事かというと、車などといった製品と違って金額的には少なくても外貨を得る重要な産業であるという事です。

バスフィッシングがなくなっても製品を製造することが出来るだろうと思う人がいるかもしれませんが、それは全く違っていて今の世界最高レベルの釣り具が生まれたのは企業の努力もありますが、企業とプロ契約を結んだ日本のプロアングラー達が大会などで日夜製品のテストを行い、そこから生まれた経験などを企業に還元し、どういった製品が求められるかなどといった情報を得てきたからこそ、ここまで素晴らしい製品が生まれるまで日本バスフィッシング産業が成長したのです。もしバスフィッシングがなくなれば、日本バス釣り産業の成長はとまり世界のバス釣り産業に追い抜かれ、世界から相手にされなくなってしまう危険性があるのです。

そういった産業を衰退させる事はどうかと私たち自身釣り人から離れた目線から見ても感じます。

実際ブラックバスよりも危険なアリゲータガー、キャットフィッシュ、草魚等といった外来種は日本に多く生息しています。環境面で言ったら中でも草魚は抜きに出ています。名前のイメージからは想像のつかない危険性を持っており、その例とし、野尻湖はかつて水生植物が豊富な湖でしたが現在は全くありません。その原因は草魚です。ナウマン象ががいた時代からあった水生植物がたった数10年の間に食べつくしてしまったのです。これにより住みかを失ったエビ、小魚類は激減したそうです。

このように産業として成り立っているブラックバスを攻撃するより、そっちが先であろうと思うのです。

私たちは、ブラックバスを完全擁護はしませんが今のブラックバス=外来種の親玉的な風習は納得する事が出来ないのです。

こういった事もこれから伝えていけたらと思います。

 

 

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このページは、前川道博ゼミナールが2011年6月22日 21:55に書いたブログ記事です。

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