里川の魚たち2 オイカワ〜派手な色は元気のシルシ?

「里川の魚たち」第2回目は、オイカワです。コイ科の魚であるオイカワは、
北陸・関東地方以西の本州や、四国の瀬戸内側などの川や湖に
分布しています。

繁殖期である5〜8月にかけて、雄の身体は鮮やかな青緑色と赤色に
染まります。この派手な婚姻色は、雄の繁殖準備が整ったことの合図
です。婚姻色の出た雄は、川の平瀬の砂礫がある場所になわばりを
はり、他の雄を追い払います。雌は、雄のなわばりにやってきて産卵を
します。ヨシノボリとは異なり、オイカワは雄どころか雌も子育てはしません。

これまでオイカワの雄の婚姻色がどんな意味を持っているのか
よくわかっていなかったのですが、私の研究から、婚姻色の面積が
広い雄ほど、雌に好まれることが分かりつつあります。

面白いことに、全ての雄が婚姻色をハデに示すわけではなく、
婚姻色の面積が広い雄からそうでもないものまで、ばらつきが
あります。

婚姻色を出すために、雄は雄性ホルモン(雄らしくなるためのホルモン。
人間にもあります)を、たくさん分泌する必要があるのですが、
このホルモンは、病原菌に対する免疫力を低下するというやっかいな
特徴も持っています。そのため、もともと病気に対する抵抗性の高い
雄しか、たくさん雄性ホルモンを分泌して、婚姻色を表すことができない
ようです。

雌は、雄の婚姻色の面積の広さを見て、病気に強い雄を選んでいるの
かもしれません。
※オイカワの婚姻色に関する研究に興味のある方はこちらもお読み下さい
(科学研究費補助金成果報告書をダウンロードできます)。


繁殖期に、長野大学の近くを流れる産川で採集されたオイカワの雄です。
派手な婚姻色が出ています。アゴの下などにあるぶつぶつは「追星(おい
ぼし)」と呼ばれる突起物で、繁殖期のみに発達します。
雄.JPG




















雌の写真です。雄に比べると地味な色合いです。
雌.JPG



















今回の記事が面白いと感じた方は、以下のバナーをクリック下さい。
にほんブログ村 環境ブログへ人気ブログランキングへ


このブログ記事について

このページは、高橋大輔ゼミナールが2011年12月24日 12:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「里川の魚たち1 トウヨシノボリ〜流行のイクメン」です。

次のブログ記事は「里川の魚たち3 ウグイ〜千曲川の初夏を彩る魚」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

ウェブページ

  • 11年度佐渡島合宿
長野大学公式サイトへ