里川の魚たち1 トウヨシノボリ〜流行のイクメン

長野大学の周辺には産川や尾根川など、やがて千曲川に
つながる里川(人里を流れる身近な川)がたくさんあります。

ゼミの調査活動でフィールドとなることが多いこれらの里川には、
陸上から川面を見ただけでは想像できないくらい、たくさんの魚
たちが住んでいます。このブログでは、学生たちの活動だけでなく、
これらの里川の魚たちも(不定期で)紹介していきたいと思います。

「里川の魚たち」第1回目はトウヨシノボリです。トウヨシノボリは、
琉球列島を除く、日本全国の河川や湖沼に生息するハゼ科魚類です。

魚類の多くは子育てを行いませんが、このトウヨシノボリは、雄が卵が
ふ化するまでの間、保護を行います。繁殖期である初夏から夏にかけて、
雄は石の下に穴を掘って巣を作り、雌が巣石の天井に卵を産みつけ後、
巣に閉じこもって卵を狙う敵を追い払ったり、胸びれで卵に新鮮な水を
送ったりなど、まめまめしく世話をします。

トウヨシノボリを含め、日本には10種類以上のヨシノボリが生息して
います。私はこれらヨシノボリ類の研究をこれまでメインに行ってきました。
※興味のある方は「魚類の社会行動3」(海游舎)をお読み下さい。この本の
第3章に私が執筆したヨシノボリの話が載っています。

ヨシノボリ類は、基本的に雌よりも雄の方が身体が大きく、また背びれが
長く伸びるという雌雄差(性的二形と呼びます)を持っています。

私たち人間だけでなく、他の生き物も異性に対する好みを持つものが
たくさんいるのですが、このトウヨシノボリの雌は背びれの長い雄が好きに
なるようです(Suk & Choe. 2002. Journal of Fish Biology. 61: 899-914)。

あなたの家の近くの川にも、たぶんトウヨシノボリが住んでいるはずです。
ゆっくりとした動きと、愛嬌のある顔をしたトウヨシノボリに会いに、里川に
出かけてみて下さい。


現在研究室の水槽で、トウヨシノボリを飼育しています。これは
雄の写真です。顔がごつごつしています。

雄.jpg


















雌です。繁殖期はまだまだ先なのですが、水温と日照条件を
繁殖期のものにして飼育しているせいか、卵を産む準備ができ
たあかしである青色の婚姻色がお腹に出始めています。
雌2.jpg

















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このページは、高橋大輔ゼミナールが2011年12月23日 09:48に書いたブログ記事です。

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